「事務所のWi-Fiが遅い」「会議中に接続が切れる」。仕事の多くがインターネットにつながるようになった今、ネットワークの不調は仕事そのものを止めてしまいます。ここでは、小さな事務所や店舗でWi-Fiの調子が悪いときに確認したいポイントを紹介します。
先に結論をお伝えすると、まず確かめたいのは「ルーターの年数」「置き場所」「つないでいる台数」の3つです。そのうえで、遅いのがWi-Fiなのか、インターネット回線そのものなのかを切り分けると、買い替えなどのむだな出費を避けやすくなります。
まず確認したい3つのこと
1. ルーターが古くないか
Wi-Fiルーターは、何年も同じものを使い続けていることが多い機器です。古い規格のルーターでは、今のパソコンやスマートフォンの性能を活かしきれません。製造から時間がたった機器は、セキュリティの更新(ファームウェアの更新)が止まっていることもあります。本体のラベルで型番を確かめ、メーカーのサポートページで更新の提供状況を見ておきましょう。
2. 置き場所
ルーターを棚の奥や床の上、金属製のキャビネットの近くに置いていると、電波が届きにくくなります。できるだけ部屋の中心に近く、高い位置に置くのが基本です。電子レンジの近くも避けましょう。水槽や厚い壁、コンクリートの柱も電波を弱める原因になります。
3. つないでいる台数
パソコン、スマートフォン、プリンター、防犯カメラ、レジ。気づけば想像以上の機器がWi-Fiにつながっています。家庭用のルーターでは、台数が増えると処理が追いつかなくなることがあります。ルーターの管理画面で、いまつながっている機器の一覧を確認できる機種も多いので、見覚えのない機器がないかもあわせて確かめておくと安心です。
遅いのはWi-Fi?それとも回線?切り分けの手順
「Wi-Fiが遅い」と感じても、原因がルーターではなく、インターネット回線やプロバイダー側にあることもあります。次の順番で確かめると、どこに原因があるか見当をつけやすくなります。
- ルーターのすぐ近くで試す:近くでは速く、離れると遅いなら、電波の届き方(置き場所や部屋の広さ)が原因の可能性が高くなります。
- LANケーブルでつないで試す:有線でも遅い場合は、Wi-Fiではなく回線やルーター本体の問題が考えられます。
- 時間帯を変えて試す:夜や昼休みなど特定の時間だけ遅い場合は、回線の混雑が影響していることがあります。
- 機器を再起動する:ルーターと回線の終端装置(ONUやモデム)の電源を入れ直すだけで改善することもあります。再起動の手順は機器の説明書に従ってください。
- 他の機器でも試す:1台だけ遅い場合は、その機器の設定や古さが原因かもしれません。
速度を測るときは、同じ場所・同じ機器で何回か測り、結果をメモしておくと、業者に相談するときにも状況を伝えやすくなります。
広い事務所や2階建ての場合
部屋が分かれていたり、階をまたいだりする場合、ルーター1台ではカバーしきれないことがあります。中継機を足す、複数のアクセスポイントで網目のようにつなぐ(メッシュWi-Fi)、建物の中にLANケーブルを通してアクセスポイントを増やす、といった方法があります。
| 方法 | 向いている場面 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 中継機を足す | 電波が届きにくい部屋が1か所だけ | 中継のぶん速度が落ちることがある |
| メッシュWi-Fi | 部屋が多い、移動しながら使う | 同じメーカーの対応機器をそろえる必要がある |
| 有線+アクセスポイント | 2階建て、席数が多い事務所 | 配線工事が必要になることがある |
どれが合うかは、建物の構造と使い方によって変わります。
お客さま用のWi-Fiは分けておく
店舗や待合室でお客さまにWi-Fiを使ってもらう場合は、業務用のネットワークとは分けておきましょう。同じネットワークにつながっていると、業務用のパソコンやプリンターが外から見えてしまうおそれがあります。多くのルーターには、来客用のネットワーク(ゲストネットワーク)を作る機能があります。
総務省も、Wi-Fiを提供する側・利用する側それぞれのセキュリティ対策について情報をまとめています(参考:総務省 令和6年版 情報通信白書「無線LANセキュリティに関する取組」)。暗号化の方式は新しいもの(WPA2やWPA3)を選び、パスワードは推測されにくいものにしておきましょう。パスワードの管理方法については小さな事務所のパスワード管理、まず決めておきたい4つのルールも参考にしてください。
有線でつなぐという選択
席が決まっているパソコンや、レジ・複合機など動かさない機器は、LANケーブルでつなぐと安定します。Wi-Fiは便利ですが、すべてを無線にする必要はありません。有線の機器が増えると、そのぶんWi-Fiの混雑も減り、無線で使う機器も快適になります。
業者に相談するときに伝えたいこと
自分たちで確かめても改善しないときは、専門の業者や回線の契約先に相談します。次のことをまとめておくと、話が早く進み、現地の調査も短く済むことがあります。
- いつごろから、どの時間帯に、どの場所で遅い・切れるのか
- 有線でつないだときも遅いかどうか(切り分けの結果)
- ルーターと回線の機器の型番、回線の契約先とプラン名
- つないでいる機器のおおよその台数と種類
- 部屋の広さ、階数、壁や柱の位置がわかる簡単な間取り
これらは、社内でネットワークの担当を引き継ぐときの資料としても役に立ちます。一度まとめておけば、次に不調が起きたときにもすぐに見返せます。
見直しチェックリスト
- ルーターの型番と購入時期がわかる
- ルーターのファームウェアが最新になっている
- ルーターが部屋の中心に近い、高い位置にある
- つながっている機器の一覧に、知らない機器がない
- お客さま用のネットワークを業務用と分けている
- 暗号化はWPA2またはWPA3で、パスワードを初期設定のままにしていない
- 動かさない機器はLANケーブルでつないでいる
- ルーターの管理画面に入るためのパスワードを会社で保管している
まとめ
Wi-Fiの不調は、ルーターの買い替えだけで解決することもあれば、建物に合わせた設計が必要なこともあります。まずは機器の年数、置き場所、つないでいる台数の3点を確認し、そのうえで有線との比較で原因を切り分けてみてください。ネットワークが止まったときに備えて、大切なデータのバックアップも見直しておくと安心です(仕事のパソコン、バックアップの基本と続け方)。それでも改善しない場合は、ネットワークの専門業者に相談するのが近道です。

